感想文を書いてみよう⑦~シェイプ オブ ウォーター~
アカデミー賞受賞作という事で、観てみました!シェイプ オブ ウォーター。
こちら、見終わってすぐに「さぁー、感想書こう」って、そんなふうには思えなくて、
ネットでどんな反響があったのか調べたんですが、それが結構面白かったです。
もちろん、この作品の魅力あってこそ、そういう盛り上がりを見せているのだと思います。
私が今回ネットで読んだ中に、
「アカデミー賞受賞作品なら、必ず万人受けするものであるという訳ではない」、
というご意見があり、なるほどと思いました。
子ども以上大人未満の世代の人は、ちょっと先に観ている人の意見を聞くなど、ある程度情報を入れてから観るかどうか決めると良いと思います。
私は文を書くときに、対象年齢の下限を作らないつもりで書くので、この作品で監督が伝えたかったほんとうの部分は書けないかも知れません。
ですが、私なりにまとめていきます。
感想文を書いてみよう⑦~シェイプ オブ ウォーター~
もくじ
- おもな登場人物
- あらすじ
- 観てみた感想
おもな登場人物
①イライザ
声帯に障害を持つ中年の女性。日常会話は手話でおこなう。
②ストリックランド 軍人
不思議な生き物を解剖して研究し、軍事的に役立てるという計画を持っている。
③ジャイルズ
アパートの隣人の画家。ゲイ。イライザとは、仲が良い友人同士。
④不思議な生きもの(彼)
アマゾンから連れてこられた不思議な生物、イメージは「半魚人」
⑤ホフステトラー博士
宇宙センターの新メンバー。実はソ連のスパイ。
⑥ゼルダ
アフリカ系女性、イライザを親身になって支える
あらすじ
舞台は、1960年代のアメリカ。ソ連との冷戦中で、どちらもこぞって軍事計画の位置づけとして最新の分野である宇宙開発に力を注いでいた。
イライザは、発声障害を持つ40代位の女性。それほど若くなく、際立って美しい訳ではないが、
知的で力強いまなざしの印象的な女性である。
アパートに一人で暮らしていて、機密期間、宇宙開発センターの清掃員として働いている。
幼い頃、首に傷を負い、声が出せなくなったのはそのためだといわれている。
隣人のジャイルズは気のいい友人で、ゲイ。パイを売るフランチャイズ店の男性店員に恋している。仕事は、写実的な緻密な絵を描く事で、広告産業に貢献してきたが、
最近は写真の普及に押されて落ち目である。
同じ職場のゼルダは、イライザの良き理解者で、手話で読み取ったことを他の人に伝えたりして彼女を何かと助けている。夫との関係があまり良くなく、悩んでいるが、
持ち前の気取らない性格で明るくやり過ごしている。
そんな友人たちと平和な生活をしてきたイライザだったが、あるとき、職場の宇宙開発センターに何かが極秘で持ち込まれたのを目撃する。
そして、突然の事故。事故にあったのは、機密計画に関わる軍人のストリックランドで、手に大怪我を負っていた。しかも、原因は、さきほど運び込まれた「何か」の仕業らしい。
現場の清掃を至急にと頼まれたイライザとゼルダだが、おぞましい光景を目の当たりにする。
運び込まれた「それ」は、生きているもののようで、ガラス張りのタンクの中に収納されていた。「それ」に興味を持ったイライザは、仕事のかたわら、研究所の様子をうかがう。
ある時、監視カメラで守られた分厚い金属のシャッター内に、隙をついて入り込み、研究のために生け捕られた「それ」の正体を見る事になる。
研究所の中の水で満たされたタンクの中には、えらやうろこを持つ、人とも魚ともいえない、なんとも奇妙な姿の生き物がいた。
イライザは、その生き物が、知性を持っている事に気づく。そして、独特の美しさを持っていることにも。
イライザは、別の日には、自分の好物であるゆで卵を持ってきて、その生き物と一緒に食べる事に成功する。
生き物は、イライザの手話による呼びかけに応え、持ち込んだレコードの音楽に心を動かし、次第にイライザにも心を開く。
イライザは、彼に向けてレコードの音楽にあわせてダンスを披露する。その後も少しずつ距離を縮め、二人は手話でコミュニケーションをとるようになる。
イライザのその生き物への気持ちは、最初こそ友愛的なものだったが、次第に恋愛感情をともなうものへと変化していった。
イライザは二人がより親密になることを夢見るようになる。
ある日の事。雨降りの中、たまたま乗ったバスの車窓に流れていく雨滴がふたつ。
絡み合うように流れて姿を変え、やがて一つに合流する様子に、イライザは、彼への想いをかさねる。
一方、その不思議な生物をめぐって、研究所内は二つに割れていた。
生物を解剖して研究に役立てようという軍人ストリックランドと、それを研究用のロケットに乗せて宇宙に送り出そうというホフステトラー博士。どちらにせよ、彼に、命の危機がせまっていた。
物語は緊迫感を増していく。
観てみた感想
一度通しでみた後、なんとも不思議な気持ちになりました。というのも、設定からいって、ファンタジーなんですが、時代が微妙に現代的で、
車も映画も監視カメラもある、科学的な、SFのような要素を感じたのです。
そして、人を脅かし、また、研究対象にされる、不思議な生き物から連想するのは、「怪獣もの」。
そして、全体を通して描かれる、イライザの、大人の恋愛ストーリー。
いろいろな要素が複雑に絡み合ってできているんです。これは、どういうジャンルなんだろう。不思議な感覚は、今も残っています。
そんな不思議さがあるから、もう少し解りたい、また観てみようという気になります。
さて、バックで絶妙にこの映画をかたちづくるのに一役かっているのが、「水」です。
この映画では、幻想的な、水の中をただよう夢の中のシーンからはじまり、卵をゆでるなど日常で欠かせない「水」、雨粒、雨漏り、浴槽、研究所のタンクなど、
それぞれのシーンを印象的にする「水」。
そして、海へつながる運河など、大きな循環を感じさせる「水」。
このさまざまなかたちの「水」を楽しみ、心で感じることが、この映画のテーマだと私は思います。
観る人によって違った発見があると思うし、その人によって捉え方も変わると思うのですが、好きなかたちで心に納めていくのが、
「水」をテーマにしたこの作品にふさわしい鑑賞のしかたなのではないでしょうか。